<学習内容>
〇PortFast
PCやデバイスが接続されているポートはすぐにフォワーディング状態にすることで高速にコンバージェンスさせる。通常のSTPの状態遷移を経由せずにすぐフォワーディング状態になる。スイッチ間のリンクでは設定してはいけない。(ループの原因になる)
・BPDUガード
本来BPDUを受け取るべきでない、PortFastが設定されているポートに対して有効にする。有効になっているポートがBPDUを受信した場合、エラーディセーブル状態になる。この状態のポートはシャットダウンされデータを送受信できなくなる。
・ルートガード
既存のルートブリッジより小さいブリッジIDが設定されたスイッチが意図せず接続された場合に、設定を保護するために有効にする。
有効になっているポートに上位のBPDUが送信されてくるとルート不整合となり、ブロッキングになる。上位のBPDUが送信されてこなくなると通常のポートに戻る。
〇RSTP
STPと同様に、ブロードキャストストームを防ぐことが目的。STPと混在させて動作させることも可能。コンバージェンスが数秒に短縮できる。STPの非指定ポートをさらに「代替ポート」「バックアップポート」に分割している。「代替ポート」はルートポートの予備。「バックアップポート」は指定ポートの予備。
・ポートのステータス
ディスカーディング:ユーザのデータを転送しないMACアドレスを学習しない。
ラーニング:ユーザのデータを転送しない。MACアドレスを学習する。
フォワーディング:ユーザのデータを転送する。MACアドレスを学習する。
・BPDUのやり取り
RSTPでは、BPDUのやり取りが3回(6秒)受け取られなかったら障害発生とみなされる。(STPでは20秒)
プロポーザルとアグリーメントのやり取りにより、スイッチ間で高速に役割を決定できる。
・エッジポート
RSTPでは、PCなどが接続するポートをエッジポート、スイッチを接続するポートを非エッジポートとする。エッジポートは即座にフォワーディング状態に遷移する。Cisco製のスイッチでは、PostFastを有効にしたポートはエッジポートになる。
〇VLANとSTPの組み合わせ
VLANが各スイッチにどのように分散しているかと関係なくルートブリッジの位置を決定してツリー構成を考える方法をCST(common Spanning Tree)という。
CSTの特徴
・複数のVLANを1つのSTPインスタンスで管理するため、所属するVLANによっては効率の悪いルートを通ることがある。
・STPの構成が1種類になるため、ユーザのトラフィックが特定のリンクに集中する。
・STPインスタンスを1つ記憶するだけなので、PVSTよりもメモリの負荷が小さい。
・BPDUが1種類ですむため、スイッチ間のトラフィック量が小さい。
〇PVST+
CSTのデメリットを避けるため、Cisco独自で、デフォルトでPVST+が使用されている。IEEE802.1Qでも使える。STPのツリー構成を各VLANごとに考えることができ、スイッチのプライオリティをVLANごとに設定できるため、各VLANで最適と思われるスイッチをルートブリッジにすることができる。
PVST+の特徴
・複数のVLANごとにSTPインスタンスを管理するため、各VLANの通信が最適と思われるルートを通ることができる。
・VLANごとにSTPの構成が異なるため、ユーザのトラフィックが分散される。
・STPインスタンスを複数記憶する必要があり、メモリの負荷がCSTより大きい。
・BPDUがVLANごとに作成されるため、スイッチ間のトラフィック量が増加する。